マルエツエクスペリエンス労働組合

福利厚生の充実と働きやすさの“見える化”が進む今、求められる企業の姿勢とは

労働問題労働環境改善労働者の権利

2025年5月11日

「働きやすさ」は、数字でなく“実感”で決まる

少子高齢化が加速し、労働力不足が深刻化する中で、企業にとって「人材確保と定着」は大きな課題です。その中で、今あらためて注目されているのが「福利厚生」のあり方です。

単に給与を上げるだけではなく、交通費の全額支給、社割制度、健康診断の実施、有給休暇の取りやすさなど、社員の日常に寄り添った制度を整えることで、「ここで働き続けたい」と思ってもらえる土壌がつくられます。

しかし、制度があるだけでは不十分です。重要なのは、「それが実際に利用できるか」「使いやすいか」という運用面の実態です。

求職者は“見える”情報を重視している

今、多くの求職者が求人票や企業の採用ページで、**福利厚生の「中身」や「使われ方」**をチェックしています。例えば、「有給休暇:年間20日」と書かれていても、実際に取得できなければ意味がありません。だからこそ、企業側も、

  • 「有給休暇の取得率:平均85%」
  • 「リモート勤務実績あり」
  • 「社割:月3万円分まで適用」

といったように、実績ベースで“見せる”工夫が求められています。

近年では、企業サイトに社員のインタビューや1日の働き方の例を掲載するなど、透明性を高める取り組みも増加中です。働きやすさが“数値化”され、応募前からイメージできることで、入社後のミスマッチを減らす効果も期待できます。

福利厚生は「コスト」ではなく「投資」

福利厚生を充実させるには、当然ながら一定のコストが発生します。

しかし、その先にあるのは、

社員のモチベーション向上
離職率の低下
企業のブランド力向上

といった長期的なリターンです。特に、Z世代・ミレニアル世代の若年層にとって、給与以上に「働く環境」「価値観の共感」が重視される傾向があるため、福利厚生の充実は重要な差別化ポイントになっています。

現場の声が活きる組合の提案型交渉もカギ

制度を作るだけでなく、それを「現場の実情に合わせてどう活かすか」も企業にとっての課題です。
そこで、労働組合が橋渡し役として機能することが、ますます重要になっています。

「健康診断が実施されていても、忙しくて受けられない」
「有給はあるけど、取ると同僚に負担がかかるから使いづらい」

――こうした“使えない福利厚生”を、現場の声として吸い上げ、経営側に改善を働きかける。
その繰り返しこそが、制度の実効性を高め、誰にとっても使いやすい福利厚生へと育てる道です。

働く人に選ばれる会社に

「働きやすさ」は、企業が一方的に定義するものではなく、働く人が実際に感じることです。
福利厚生の充実は、その“実感”を形にするための第一歩。

情報の“見える化”によって、企業と社員の信頼関係が深まり、強固な職場文化が築かれていく――。
今こそ、制度の有無ではなく、その“中身”と“使いやすさ”に目を向けることが求められています


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※本記事は、各種報道および公表されている情報をもとに、労働組合の立場から整理・解説したものです。法律や制度の詳細な運用については、厚生労働省などの公的機関による正式な発表やガイドラインをご確認ください。

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