【特集】2025年春闘 平均賃上げ率“5.4%”の現実 ――それでも「給料は変わらない」と感じる理由とは?
最新ニュース賃金格差2025年5月13日
2025年春季生活闘争(春闘)では、主要産業を中心に賃上げの動きが続き、平均賃上げ率は5.4%と、前年(5.1%)を上回る高い水準となりました。これは、歴史的な物価高や人手不足を背景に、企業側の賃上げ意欲がかつてないほど高まっていることを意味しています。
しかし、現場の声に耳を傾けてみると、こうした統計とは裏腹に**「給料が上がった実感がない」という声が半数近く**を占めているのが現状です。なぜこのような“乖離”が生まれているのでしょうか?
「昇給を感じない」労働者の本音
企業の人事・労務領域の調査・分析を行うリスクモンスター株式会社が、全国のビジネスパーソン800名を対象に実施した調査によると、約47.4%が「昇給はなかった」と回答。さらに、**「5%以上の賃上げを実感している」と答えた人はわずか7.2%**にとどまりました。
この調査結果は、表面的な“平均値”と、現場で働く一人ひとりの体感との間に深いギャップがあることを浮き彫りにしています。
平均賃上げ率は「大企業中心」の指標に過ぎない
春闘の賃上げ率は主に大企業が交渉結果を公表するものであり、労働者全体の実態を反映しているわけではありません。特に、中小企業や非正規雇用労働者の賃上げは依然として限定的であり、こうした層にとっては春闘の賃上げが“遠い世界の話”になってしまっているのです。
組合の存在意義が問われる時代に
こうした現実を前に、私たち労働組合に求められているのは、「一律の数字では語れない声」を集め、企業ごとの実態に即した改善要求を進めていくことです。
組合があることで、非正規・短時間・深夜勤務者など、これまで交渉の外に置かれてきた労働者の声も、正当に届けることができます。平均ではなく、「自分の働き方と賃金」が変わる。その実感を持てる社会へ向けて、今こそ団結の力が必要です。
引用・参考元:
・PR TIMES「2025年春闘 平均賃上げ率5.4%」 リスクモンスター株式会社 調査レポート「2025年春の給与実感」
本記事は、報道および公開情報をもとに、労働組合の視点から整理・解説したものです。制度や法律の詳細については、厚生労働省等の公的機関の発表をご参照ください。