労働者の権利
すべての労働者には、法律で保護された権利があります。 マルエツエクスペリエンス労働組合では、労働者の権利に関する情報を提供し、 すべての組合員が自分の権利を理解し、適切な労働環境で働けるよう支援しています。
労働基準法の基本
労働基準法とは
労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律です。 この法律により、労働者の権利と使用者の義務が明確に定められています。 1947年に制定され、以後も社会情勢に合わせて改正が続けられています。
労働基準法の目的
労働者が人間らしく働き、生活できるための最低限の基準を定め、労働者を保護することが目的です。 憲法第27条の「勤労の権利と義務」および第28条の「労働基本権」に基づいています。
労働基準法の主な内容
- 労働条件の明示義務:雇用主は労働条件を書面で明示する義務があります
- 賃金支払いの原則:通貨で、全額を、直接本人に、毎月1回以上、一定期日に支払うこと
- 労働時間:原則として1日8時間、週40時間が上限
- 休憩・休日:勤務時間に応じた休憩時間と週1日以上の休日の付与
- 年次有給休暇:6ヶ月継続勤務後、最低10日の付与
- 時間外労働と割増賃金:法定時間外労働に対して25%以上の割増賃金
労働基準法に違反した場合
労働基準法に違反した場合、企業は是正勧告を受けたり、罰金刑が科されたりすることがあります。 重大な違反の場合は、懲役刑が科されることもあります。
違反を発見したら
労働基準法違反を発見した場合は、労働基準監督署に相談・通報することができます。 また、当労働組合にご相談いただければ、適切な対応をアドバイスいたします。
労働組合のサポート
当組合では、労働基準法に関する相談を受け付けています。 違反が疑われる場合の対応策や、適切な解決方法をアドバイスいたします。
労働者の基本的権利
日本国憲法第28条により、労働者には「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」という3つの権利(労働三権)が保障されています。 これらの権利は、労働者が使用者と対等な立場で交渉するための基本的な権利です。
団結権
労働者が労働組合を結成し、またはこれに加入する権利です。 使用者は、労働者が組合に加入したことを理由に解雇や不利益な取り扱いをすることはできません。
団体交渉権
労働者が労働組合を通じて、使用者と労働条件などについて交渉する権利です。 使用者は、正当な理由なく団体交渉を拒否することはできません。
団体行動権
労働者が団体交渉で要求が認められない場合に、団体としての行動(ストライキなど)を行う権利です。 合法的なストライキ参加を理由とした解雇は無効となります。
その他の重要な労働者の権利
平等待遇の権利
労働者は性別、国籍、信条、社会的身分などを理由に、賃金や労働条件について差別的な取り扱いを受けない権利があります(労働基準法第3条)。
安全衛生の権利
労働者は安全で健康的な環境で働く権利があります(労働安全衛生法)。 使用者は、労働者の安全と健康を確保するための必要な措置を講じる義務があります。
解雇制限の権利
使用者による解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効となります(労働契約法第16条)。
ハラスメントからの保護
セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなどのハラスメントから保護される権利があります。 企業はハラスメント防止のための措置を講じる義務があります。
自分の権利が侵害されていると感じたら
自分の労働者としての権利が侵害されていると感じた場合は、以下の行動をとることができます:
- まずは事実関係を記録し、証拠を保存する
- 労働組合に相談する(当組合にご相談いただけます)
- 会社の労務担当や上司に相談する
- 労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する
- 労働審判や裁判など法的手段を検討する
最新の労働関連法律の変更点
労働関連の法律は社会情勢の変化に伴い、定期的に改正されています。 最新の主要な変更点を把握し、自分の権利や適用される制度について理解しておきましょう。
2024年度 主な法改正ポイント
1. 同一労働同一賃金の徹底
正社員と非正規社員(パート、アルバイト、契約社員、派遣社員)の間の不合理な待遇差の是正が義務付けられています。 基本給や賞与、各種手当など、あらゆる待遇について均等・均衡待遇の確保が求められます。
施行:2020年4月(大企業)、2021年4月(中小企業)、継続的な強化が進行中
2. 時間外労働の上限規制
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)と定められました。
施行:2019年4月(大企業)、2020年4月(中小企業)
3. パワーハラスメント防止措置の義務化
企業に対してパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務付けられました。 相談窓口の設置や、ハラスメント行為への対処方針の明確化などが求められています。
施行:2020年6月(大企業)、2022年4月(中小企業)
4. 年次有給休暇の取得義務化
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、使用者は年5日については、時季を指定して取得させることが義務付けられました。
施行:2019年4月
5. 育児・介護と仕事の両立支援の拡充
育児休業制度の柔軟化、介護休業の分割取得、ハラスメント防止措置の強化など、 仕事と家庭の両立を支援するための法整備が進められています。
施行:段階的に実施(2021年〜2024年)
今後予定されている主な法改正
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2024年〜2025年:デジタル社会に対応した労働法制の整備(テレワーク関連規定の明確化など)
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2024年〜2026年:最低賃金の引き上げ継続と地域間格差の縮小
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2025年(予定):70歳までの就業機会確保義務の段階的導入
知っておくべき主要な労働法規
主要な労働関連法規
- 労働基準法:労働条件の最低基準を定める基本法
- 労働契約法:労働契約の基本ルールを定める法律
- 労働組合法:労働三権の保障と団体交渉のルールを定める法律
- 労働安全衛生法:職場の安全と健康を確保するための法律
- 最低賃金法:賃金の最低額を保障する法律
- 男女雇用機会均等法:性別による差別を禁止する法律
- 育児・介護休業法:育児や介護と仕事の両立を支援する法律
相談窓口
労働問題に関する相談は、以下の窓口で受け付けています。
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労働基準監督署
労働基準法違反や労働条件に関する相談 -
総合労働相談コーナー
あらゆる労働問題に関する相談(各都道府県労働局内) -
マルエツエクスペリエンス労働組合
組合員の方は労働条件や職場環境に関するあらゆる相談に対応します
よくある質問
Q. 残業代が支払われていません。どうすればよいですか?
A. まずは残業時間の記録(タイムカードの写しやメモなど)を取っておきましょう。 直属の上司や人事部門に相談することが第一歩ですが、解決しない場合は当組合や 労働基準監督署に相談してください。未払い賃金の請求には時効(原則3年)があるため、 早めの対応が重要です。
Q. パワハラを受けていますが、どう対処すべきですか?
A. パワハラの事実(日時、場所、内容、証人など)を記録しておきましょう。 可能であれば、会社のハラスメント相談窓口に相談してください。 解決しない場合や相談しにくい場合は、当組合や都道府県労働局の総合労働相談コーナーに 相談することができます。必要に応じて、メンタルケアも受けることをお勧めします。
Q. 有給休暇を取りたいと言ったら断られました。拒否されても問題ないのですか?
A. 原則として、年次有給休暇は労働者が請求した時季に与えなければなりません。 ただし、「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、使用者は時季変更権を行使できます。 しかし、恒常的に人手不足であることや繁忙期であることだけを理由に 常に有給休暇を拒否することは違法です。当組合にご相談いただければ、 具体的な状況に応じたアドバイスをいたします。
Q. 契約社員ですが、正社員と同じ仕事をしています。待遇に差があるのは違法ではないですか?
A. 同一労働同一賃金の原則により、正社員と非正規社員の間で不合理な待遇差は禁止されています。 基本給や賞与、各種手当などについて、職務内容や責任の程度、人材活用の仕組みなどを 考慮して不合理な差がある場合は、法律違反となる可能性があります。 具体的な状況について、当組合にご相談ください。
Q. 労働組合に加入すると会社からの評価が下がりませんか?
A. 労働組合への加入は憲法で保障された権利です。労働組合法では、 組合活動を理由とした解雇や不利益取り扱いは禁止されています。 当組合では、組合員の個人情報を適切に管理し、会社との交渉において 全体の待遇改善を目指すことで、特定の個人が不利益を被ることのないよう 取り組んでいます。安心してご加入ください。
権利を守るための第一歩
自分の権利を守るための最も効果的な方法は、労働組合に加入することです。 マルエツエクスペリエンス労働組合では、すべての組合員の権利を守り、 より良い労働環境を実現するために活動しています。
- 労働条件や職場環境に関する相談
- 団体交渉による待遇改善
- 労働問題に関する情報提供
- 組合員同士の交流と支え合い